さて今日は、大アルカナの1番初め、愚者のカードについて話してみたいと思う。
この愚者のカードには、そもそもすごくいろんな意味があるけれど、私のリーディングの仕方(大アルカナと小アルカナを一枚ずつセットで読む読み方)では、楽しいから何かを始めるという、物事の始まりを表している。
ポジティブな小アルカナと一緒だと、”楽な気持ちで何かを始める”や”楽しいから始めたらこうなった”、”深く考えずにどんどんやっちゃおう”、そんな意味になる。
対してネガティブなカードと一緒だと、”何も考えずにうっかり始めたら・・”といったような意味になる。どちらも”何も考えない”という点では一緒だ。だからこのカード自体は、ポジティブもネガティブもない。まあカード全体はそうだといえば、そうなのだけど。
とにかく”無垢の状態”、そしてその状態から”何かを始める”ということを表している。全てはここから始まる。だから、このカードが「結果」になることはなく、全ての「原因」となるしかないのだ。
ここでもう一つ思うのは、このカードが象徴する通り、全て何かを始めることというの、楽しいことであるという点だ。
何かを始めるにあたって、何の知識もないし、なんの技術も持っていない。ただ楽しいからはじめる。それが1枚目のカードとなる。思えば何かを学び始める時も、最初はただただ楽しくて、そのうちなぜか、楽しくない、苦しいとなってくる。
自分がなかなか伸びないことであるとか、今までの成長をプラスに受け止められなかったり、人と比べてしまったり、「しなければいけない」という気持ちばかりになっていたり。
冷静に考えてみれば、実際に何かを始めて少し経った時には、”必ず”始めた時点よりは上手くなっているのにも関わらず、始めた時より楽しくないということだ。
そこに余分な思考が入り込むと、「こう有るべき」などという思いが邪魔をして、純粋に始めた時の楽しい気持ちを、思い出すことができなくなるのだろう。
だから楽しくなくなった時は、始めた時の何もできなかった自分を思い浮かべて、あの時よりは確かに成長したのだ。「0より1はいつも必ず大きい」と自分に言い聞かせる。
愚者のカードを見ると、いつもこのことを思い出す。